定刻発車

定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)

定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)

お友だちがレビューしてて面白そうなので読んでみました。興味深いテーマをエッセイ風の読みやすい文章で書いた、よい本でした。
どうしてもあの尼崎線の事故と重ねて読んじゃいますが、事故のずっと前に単行本で発行して、ちょっと前に文庫化された本です。
わたしは、あの事故に対する「分単位の正確さを求めている乗客側にも遠因があり、もっとゆとりを持って列車に乗るべきではないか」「迅速よりも安全をとるように要求したい」みたいなコメントに、ちょっとした違和感を感じていました。「そうゆうモンダイなのかなぁ?」みたいな。そうゆうとこきれいに説明してもらった気分です。新宿駅では、列車が3分遅れて”5分間隔"になると、ホームが人がいっぱいで列が識別できなくなる、という話が印象的です。定時運行と安全というのは必ずしもトレードオフの関係にはないということがよくわかります。
他にも、巨大システムの運用に関する考察という側面、日本人の国民性を分析するという側面、これから先の鉄道はどうなっていくのか、どう変わるべきなのかという展望など、一冊で何回も美味しい本です。
「全国民必読」のあおりはそれほど誇張でもないと思ったのでした。