米原万里「ガセネッタ&シモネッタ」、銀林みのる「鉄塔武蔵野線」

ガセネッタ&シモネッタ (文春文庫)

ガセネッタ&シモネッタ (文春文庫)

引き続き、米原万里。軽快に読み進んでついつい夜更かししちゃいます。
とても得した気分になったのが「漢字かな混じり文は日本の宝」。日本語は黙読に強いことを、サイトラ(黙読通訳)の楽さと黙読速度の実測を根拠に述べてる一節です。読書時間あたりの内容という意味では、日本語を読めることがそのまま速読術を身に付けてることになるわけです。
子どもの頃から文字習得の為にえらく手間暇かけているおかげなわけで、米原万里も言う通りその時間とエネルギーを取り戻すためにも読書に励まないとねー。読書に淫することへの見事な言い訳を与えてくれたエッセイでした。

鉄塔 武蔵野線 (新潮文庫)

鉄塔 武蔵野線 (新潮文庫)

脈絡なく突然読み返したくなる本のひとつ。
この本を読んでいつも思うのは、鉄塔に関する薀蓄でもなく、少年二人の掛け算とかでももちろんなく<おい。一人称っていくつくらいで固定化するんだろう。この本の主役は小学生5年生の男の子ですが、回想として語られているせいなのか、地の文での一人称は「わたし」なのですね。会話では「オレ」って言ってるんですが。これが、なんど読んでも不思議としっくりはまってていいんです。